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最高裁判所第三小法廷 昭和31年(オ)691号 判決 1958年11月04日

主文

原判決を破棄する。

本件を福岡高等裁判所に差し戻す。

理由

上告代理人鍛冶利一、同本田義男の上告理由第一点について。

当裁判所が職権を以て調査したところによれば、所論昭和三一年三月一六日の口頭弁論調書中、「被控訴代理人は」の次に「従前の口頭弁論の結果を陳述し続いて」と記載されたのは、右調書の完成後おそらくは記録を当裁判所に送付した頃において、立会書記官福井久以外の者によつてなされたものであることが認められる。そして弁論の更新がなされたか否かは、民訴一四七条にいわゆる口頭弁論の方式に関するものとして調書によつてのみ証することをうるものと解すべきであるから、本件においては、適法に弁論の更新が行われたものと認めるをえない。そうとすれば、原判決は、法律に従い判決裁判所を構成せざりし者によつてなされたものというべく、論旨は理由があり、原判決はその余の論旨に対する判断をまつまでもなく破棄を免れない。よつて本件を原審に差し戻すべく、民訴四〇七条一項に従い裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 垂水克己 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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